輪島インスパイア・ベース

【コラム】輪島インスパイア・ベースの先見的「備え」

石川県・能登の入り口、「口能登(くちのと)」エリアにある宝達志水町で、夫婦でゲストハウス「Chirin(ちりん)」を開業して約1年半が経とうとしています。2023年春にこの地に移住し、2024年1月の震災に合いました。宝達志水町も断水などが続きました。幸い私の家は被害が少なかった為、発災直後から輪島市や珠洲市のボランティア復旧作業に参加してきました。そこで輪島市の東部・門前町で、被災した住民に対して衣食住その他あらゆるサポートを行うボランティア拠点「輪島インスパイア・ベース」(以下輪島I.B)に出会いました。

この施設の代表、地元漁師の田谷武博さんは発災直後から仲間達と井戸を掘り、地域の生活用水として開放。断水が長期化したエリアの住民はこの井戸に救われました。また集まったボランティアの為の宿泊施設を整備し寝食をサポート。救援物資を全国から集めて、避難所や住民宅に定期的に配り回ったそうです。また、遊び場を失った子供達を集めて施設でピザを焼いたりプールで遊ばせたりするイベントを月一で行っています。

輪島I.Bの炊き出しに集まる被災者

田谷さんはこれまでの活動を振り返り「住民の求めることに迅速に動いてきただけだが、振り返れば、行政の後になったことは一度も無い」と。この先見的でスピーディな活動の背景には、田谷さんの「備え」がありました。

田谷さん流「備え」とは

田谷さんは、約10年前から2013年東日本大震災で遊び場を失った福島県の子供達を能登に招き、海で思いっきり遊ばせる活動を行ってきました。漁師として活躍していた田谷さんにボランティアに熱心な友人から「福島の子供達に何か貢献できないか?」と相談があったそうです。田谷さんは、子供達を呼んで持っていた船に乗せて魚を捕り食べさせて泊らせたいと提案。両間の協力者のもと瞬く間に実現(全て田谷さんの自費で開催)。そして、この活動はコロナ禍により一時休止されていましたが終息を見せ、再開を計画していた矢先、大地震に見舞われました。発災直後、この活動で繋がっていた人たちから「できることはないか?」と、1月2日から田谷さんの元に集まったそうです。田谷さん流「備え」を尋ねると、こう話してくれました。

「今、能登で地域に役立てる活動ができているのは10年前から行っている活動で共にした仲間・協力者がいるから」

「これらの協力者がいるから井戸も掘れたし、人も物資も集まった」

「重要なのは、これまで人に寄り添ってきたか、どうか」

「大きな被害を受けたが、今までの人生の中でこの10年間が一番豊かで充実している」

「想いと時間をかけた関係性」が発災直後から井戸を掘り地域に開放でき、全国から人・物資を迅速に集めることができたー。経済合理の圏外にある活動が生む関係性こそが、「いざ」の時の備えなのかもしれません。

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テキスト:猫と暮らす田舎の一軒家 ゲストハウスちりん

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